認知症の収集癖の対応対策|原因はなぜ
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認知症の収集癖の対応対策|原因はなぜ

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

認知症の収集癖
利用者さんがティッシュやトイレットペーパー、
手拭き用のペーパータオルなんかを集めてポケットや部屋のタンスが紙類だらけ…

一体どうしたらいいの~?
なんてお悩みではありませんか?

片づけても片づけてもいつの間にか部屋やポケットの中がペーパーまみれで
挙句の果てには一緒に洗たくしちゃって、それはもう大変ですよね…。

ここでは、ペーパー収集癖の原因と対応方法、
そして片づけるときに注意すべきことについてまとめています。

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収集癖があらわれる理由はなぜ

認知症の症状のひとつに収集癖がありますが、人によって集めるものや集める理由はちがいます。

わたしの働く施設でもペーパー類を集める人もいればペン類をあつめる人もいます。
トイレからオムツ類を持っていく人もいれば、職員が使用するグローブを持っていく人もいます。

また、理由もひとつとは限りません。
いくつかの要因が複雑に絡み合って収集癖となって現れることもあります。

・物があったことを忘れてしまう
持ってきたものをどこに片づけたのか忘れてしまって、また同じものをもってきてしまうパターン。
同じことを繰りかえし、たくさんあることを忘れてしまって結果的に貯まってしまうという感じです。

ティッシュがないから部屋に持って行ったけど実はさっきも持っていてきていた。
それも忘れてまた持ってきてしまうのです。

一人暮らしの高齢者だと、冷凍庫にアイスクリームがあるのに
アイスクリームばかり買ってきてしまい冷凍庫の中がアイスクリームだらけというのはよくある話です。

もったいないと思ってしまう

よく言えばものを大切にする行為ではあるものの、結局活用できずにたまってしまうパターンです。

今とは違って物がない時代を生きてきた高齢者の方は物をとても大事にします。
鼻をかんだティッシュや、ちょっとテーブルを拭いたティッシュも再利用しようとして集めたりします。

わたし達でも、割りばしやアイスのスプーンなどついつい集めてしまうこと、ありますよね。

不安の解消のため

認知症の高齢者の収集癖は、なんだかんだいって不安からくるものであることが多いです。
「なくなったらどうしよう」「あれば安心」という心理が働くわけです。

よくあるのが、尿失禁のある利用者さんが「失敗したらどうしよう…」という不安から
パットを集めたりトイレットペーパーをたたんでポケットにいれたりする行為です。

欲求を満たすため

さみしさや不安を物がたくさんあることで満たそうとするパターン。
欲求が叶えられそうもないときに代わりのもので欲求を満足させる行動をとります。

 

収集癖の対応と対策

収集癖に限らず、認知症のBPSD( 周辺症状) )に対しての対応は
基本「否定しない」ことが大切です。

絶対にとがめてはダメ。
むやみに回収してはダメ。

あつめているものが他に迷惑のかかるものでないのなら
そのまましばらく様子をみて、なぜ集めているのか理由を探しましょう。

否定しない

ティッシュをポケットに突っ込んでいるのを目撃したり、
お部屋のタンスからペーパーが山ほど出てきたとしても「いらない」とか「ゴミ」だとか否定してはいけません。

汚れていたり使用済みだったりと、私たちから見て不潔なものであっても
利用者さんにとっては必要なもので大切なものです。

ごみだ! 不用品だ!と否定されると
逆に興奮して意固地になってしまい、暴言などの別の症状につながってしまいます。

満足感をひきだす

利用者さんが、もう紙を集めなくても十分にあると理解できるように集めたものを一緒に整理して一目で「ある」とわかるようにすると収集癖が薄れることがあります。

集めたものがバラバラなところにあるのであれば特定の場所に集めて
一目でわかるようにすると効果的です。

不安の解消に働きかける

認知症の収集癖の多くは、孤独や不安、認めてほしいという気持ちの表れが影響していることが多いです。

何か熱中してやることがなかったり気持ちが満たされることがないと
不安や孤独でいっぱいになり、収集癖はずっと続いてしまいます。

逆に、人とのコミュニケーションを増やしたり本人が得意なことや得意な活動、役割がみつかると
孤独や不安が消えていき、同時に収集癖が収まることがあります。

観察する

利用者さんの収集癖の特徴をつかむことができればどう対応したらいいか考えやすくなります。
いつ、どんな時に物を集めるのか状況やパターンを見極めましょう。

たとえば、特定の時間ばかり集めていることや、
あつめたものをどこに置いているのかをよく観察して傾向をつかんでみましょう。

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処分や回収には慎重に

わたし達職員からすると利用者さんの収集癖は「仕事が増える」大変なものですが
利用者さんにとっては大切なものであることが多いです。

集めたものを勝手に処分してしまうと、よけいに集めたものへのこだわりが強くなり
物盗られ妄想などの被害妄想につながる可能性が高くなるので注意が必要です。

収集癖のある利用者さんを観察していると傾向がわかってきます。

集める行為だけが目的で、あつめた後のものに関心がない場合は処分しても問題はありませんが
特定の場所に大切に保管していたり、見返したりしている場合には勝手に処分するのはNGです。

不衛生なものはどうする?

利用者さんの中には、使用済みのティッシュや使用済みのパットなど
明らかに不衛生なものを収集される人もいます。
未使用なのか使用済なのかわからない状態の場合も多々ありますし。

そっと見守るべきなのはわかっていても、不衛生なものだとそうは言ってられませんよね。

認知症の人あどうせわからないからと、
本人が見てないときにコッソリお部屋に入って回収していることも多いことと思いますが
処分や回収する必要がある場合でも本人と一緒に「整理」するようにしましょう。

一緒に整理してくれるあなたが、本人の集めたものや集めた行為を尊重してくれる「いい人」であれば
汚いものであることや他人のものであることを受け入れてスムーズに処分や回収ができることもあります。

「たくさん集めましたね」などと肯定的にかかわり、一緒に整理していくと汚れていることを理解してくれます。
わたしたちが否定せずに関われば、代わりのペーパーと交換することを受けれてくれて不衛生な状態になるのを回避できるのです。

否定ではなく肯定的にかかわることで利用者さんも満たされて
あの捨てて取られてまた捨てて…という不毛なやり取りがなくなっていきます。

どうしても、本人が納得しなくてやむを得ないときには
本人が気を配っていない場所から慎重に少しずつ様子をみながら回収していきます。
本人が作ったその環境を大きく変えないように、代わりのものを用意するなどの工夫も忘れないようにしましょう。

まとめ

利用者さんの収集癖に対する対応は基本的に「見守る」ことが大切になります。

「ダメです!」「持っていかないで!」などの声かけや、こっそり全部処分するなどといった対応は
余計に利用者さんを不安にさせ混乱させてしまうでけで、同じことを繰り返すだけです。

利用者さんの不安や混乱が大きくなると、
私たち職員の負担やストレスも大きくしてしまうだけですよね。

危険なものや不衛生なものでなければ、一緒に整理整頓するだけにして否定せずに見守っていきましょう。

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