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ここ数年でテレビや雑誌などのメディアでもよくとりあげられている「認知症」という病気。
よく耳にするけど一体どんな病気なの?なんて思っていませんか?
病気の話って言うと難しい言葉や漢字がいっぱい出てきて
何が何だか分からなくなりますよね。
で、簡単に言うとどんな病気?って思っちゃいませんか?
ということで、ここではそんなあなたの為に認知症とはどのような病気なのか、
子どもにも教えられるくらいわかりやすく説明します。
認知症ってどんな病気?
認知症は、脳の細胞が何らかの原因で少なくなったり働きが悪くなることで
記憶や判断力が失われてしまうという障害が起こる状態のことを言います。
認知症はよく、心の病気だと思われがちですが脳の病気と言った方が正しいです。
脳の細胞が減ったり失われていく病気の影響で
新しく何かを覚える記憶力や、今どこにいるのかの場所や
この人は誰なのか、今日は何月何日なのかを認識したり
判断したり予想したりする力が少しずつ失われていってしまう病気です。
認知症は病名ではなく“症状”
実は認知症は病名じゃないって知っていましたか?
わたしも上記で病気って言ってますが原因となる病気があって、
その病気によって出てくる症状や状態のことを「認知症」と言うんです。
認知症を引き起こす病気はたくさんあるのですが中でも有名なのが
「アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)」「(脳)血管性」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症(ピック病)」の4つになります。
認知症と、ただの物忘れって何が違うの?
今朝食べたご飯が思い出せない…
はい、あなたは認知症!ではありません。
認知症ともの忘れはちがいます。
誰だって年を取ればもの覚えが悪くなったり
パッと人の名前が思い出せなかったりするものです。
あたは、昨日の夕飯が思い出せますか?
昨日見たドラマのタイトルやキャストの名前を今すぐ言えますか?
えーっと…
えーっと…何だったっけ?
ってなっちゃいますよね?
このようなもの忘れは誰にでもある脳の老化によるものです。
認知症は、脳の老化による物忘れとは違って
何か別の病気で脳の一部が壊れちゃうことで起こる症状や状態なのです。
脳の一部が壊れちゃうっていうと
恐ろしく感じちゃいますが分かりやすく
「お昼ご飯は何を食べたか」例で例えてみますね。
もの忘れの場合も認知症の場合も
両者、何を食べたかご飯の内容を覚えていないわけですが
ただのもの忘れの場合は、ごはんを食べた記憶は脳の中にあるわけです。
「あのお店で」「あの魚だよ」等々のちょっとしたヒントを出す事で
脳の記憶を引き出してきてパッと思い出したり、じわじわ思い出すことができます。
認知症の場合は、脳の一部が壊れてしまっているので
ごはんを食べた事を記憶することが出来なくなります。
どういうことかというと、ご飯を食べたことそのもの、
お店に行った体験まるごとが脳に記憶されず、どこかに落としてきてしまっている状態なのです。
体験丸ごとを脳が覚えていないので
どんなにヒントを出しても、思い出せるわけがないですよね。
思い出す手がかりになる「記憶」が脳に保存されていないため
思いだそうにも思い出すことができない。
記憶が丸ごとない状態なので
本人にとっては、「ご飯は食べていない」ことになるのです。
このように、脳の細胞の一部が壊れてしまって起こる症状や状態が認知症になります。
認知症が進んでいくことで記憶力をはじめとして
理解する力や判断する力がだんだん無くなっていき
日常生活に支障が出てきてしまうわけです。
もしかして認知症かも!?の要注意サイン
認知症になると、少しずつ普段の生活に異変が見られるようになります。
早く気がつくことができれば
進行を遅らせるための対応や、慌てず準備をすることができます。
認知症初期のよくあるサインを紹介するので
少しでもあれ?と思ったら認知症かもしれないと意識してみてくださいね。
・同じ事を何度も言う
・お金が盗まれたと疑う
・約束の日や場所を間違える
・慣れた道なのに道に迷う
・置いた場所を覚えていない
・頭が変…と自分で訴える
・怒りっぽくなった
・電話を切ったあとすぐに誰と話ていたか名前を忘れる
・身だしなみを整えなくなった
・外出しなくなった
・好きな事に興味を示さなくなった
あなたの親も、あなた自身も認知症になる可能性はある
認知症は今や、とっても身近な存在になります。
少子高齢化社会なんて言われてるように
産まれる子どもが少なくなり日本の人口が減っているのに
高齢者が増えている今。
認知症の高齢者もメキメキ増加してきています。
2012年の時点で認知症の高齢者の数は
約462万人もいると報告があがっています。
2012年の時点で、ですよ。
今現在どうなっているか想像もできないですよね。
認知症は高齢者だけがなる疾患ではないのですが
年を取ればとる程、発症するリスクは高くなります。
生活習慣が悪かった人がなる特別な病気ではありません。
男だから、女だからなりやすいという病気でもありません。
認知症は特別な人だけがなる疾患ではなく
あなたの会社の上司だって、あなたの親だって、お隣さんだって
あなた自身も、誰にでも起こりうる身近な病気なのです。
病気の人はどれくらいいるのか?
2012年に行われた厚生労働省の研究の発表で
65歳以上の人で認知症になっている人は約15%いました。
この調査で全国には約462万人もの認知症の高齢者がいると推計されています。
ちなみに、この数字は「認知症」の人の数。
認知症が発症する前の段階の、もしかして認知症かも…という
軽度認知障害と呼ばれる状態の高齢者も同じくらい多くいるわけです。
医療機関を受診して認知症の診断を受けている人で
これだけの人数がいるわけですから
きっと認知症なのに病院を受診せずにいる高齢者もどれほどいることでしょう。
全部合わせるとものすごい数になりますよね。
これから団塊世代の人たちが75歳になる頃…
2025年には認知症患者数は700万人を超える!なんて予想もされているくらい
これからの時代、認知症患者の数は増えるといわれています。
聞いて驚きますよ。
厚生労働省の発表では、
65歳以上の高齢者の5人に1人は認知症に…
90歳以上の高齢者の2人に1人が認知症に…
なんて言われています。
実際、わたしが働く介護施設でも
数年前までは80代半ば~後半の認知症の利用者様が多かったのですが
ここ最近は70代半ばの人の入所や申し込みも目立ってきています。
わたし自身の親はまだ元気ではありますが、主人の親よりも若い認知症の利用者さんもいたり
友人から親の介護の相談を受けるようになって「認知症」をますます身近に感じています。
認知症は高齢者がなるんでしょ?
年を取ればとるほど認知症になる可能性は高くなります。
でも、認知症は高齢者の病気ではありません。
高齢であればもちろんリスクは高いですし
有病者の多くも高齢者であることは事実です。
ただ、65歳未満で認知症を発症する場合もあります。
「若年性認知症」というのを聞いたことがありませんか?
TBSで女優の戸田恵梨香さんが主演で
「大恋愛~僕を忘れる君と」というドラマが放送されてましたよね。
ドラマではもっと若かったですが
若年性認知症は現役世代である40代・50代で起こる認知症です。
高齢者の認知症とは違って進行も早く症状が重いのが特徴で
2009年の調査で18歳から64歳の人口10万人あたり
若年性認知症の患者数は47.6人との調査結果があります。
高齢者のほうが認知症になるリスクは高くなりますが
若いから大丈夫、というわけでないことは覚えておきましょう。