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「アリセプトやメマリーって、ずっと飲み続けないといけないの?」
「やめたら認知症が悪化するの?」
認知症の薬を続けるべきか、それともやめるべきか…迷っている方は多いと思います。
この記事では、認知症の薬の効果や、途中でやめた場合に起こる変化について、専門用語を使わずにわかりやすく解説します。
薬を続けることで得られるメリット、やめることで起こるリスクや副作用、そしてやめた方がいい場合などを、実際のケースを交えながらお伝えします。
大切なご家族のために、納得のいく選択をするためのヒントになれば幸いです。
1. 認知症の薬ってどんなもの?
「アリセプト」や「メマリー」といった認知症の薬は、認知症の進行を遅らせるために使われます。
「進行を遅らせる」と聞くと、「治るの?」と思うかもしれませんが、残念ながら認知症を完全に治す薬ではありません。
でも、できるだけ長く「その人らしく」過ごせるようにするための大事なサポートになります。
たとえば、認知症のAさん(75歳)は、1年前までは一人で料理ができていたのに、最近は手順を忘れることが増えてきました。
お薬を飲むことで、しばらくの間は「料理の仕方を少し思い出せる」状態が続くかもしれません。
このように、今できることをできるだけ長く保つのが認知症の薬の役割です。
2. 薬を飲み続けた方がいい理由
「でも、ずっと飲み続けるのは大変そう…」と思う方もいるかもしれません。
実は、認知症の薬を飲み続けることで、次のようなメリットがあります。
① 記憶力の低下をゆっくりにする
例えば、認知症のBさん(80歳)は、お孫さんの名前を覚えていました。
薬を飲み続けることで、「あれ?名前なんだっけ?」と思う回数が減り、家族との会話がしやすくなることもあります。
② イライラや不安を和らげる
認知症が進むと、「さっきご飯を食べたのに、まだ食べていない!」と怒ったり、不安になったりすることがあります(これをBPSD=行動・心理症状といいます)。
薬を飲むことで、気持ちが落ち着き、穏やかに過ごせることが多いです。
3. 薬をやめるとどうなるの?
「やっぱり薬をやめたい」と思ったとき、どうなるのでしょう?
① 記憶力が急に落ちることがある
薬をやめたことで、**「昨日のことは覚えているけど、今朝のことをすぐに忘れてしまう」**といった変化が出ることがあります。
例えば、Cさん(78歳)は、薬をやめた途端に「さっき電話したことをすぐに忘れて、何度もかけ直す」ようになりました。
こうした変化が出ることもあるため、急にやめるのは注意が必要です。
② イライラしやすくなることも…
薬をやめると、認知症による不安やイライラが強くなり、**「家族に暴言を言う」「夜中に歩き回る」**といった行動が増えることもあります。
Dさん(85歳)は、薬を飲んでいたときは落ち着いていましたが、やめた途端に「泥棒がいる!」と大騒ぎすることが増えました。
これは、薬が不安を和らげていたのに、それがなくなってしまったからかもしれません。
4. こんなときは薬をやめてもいい?
もちろん、薬をやめた方がいい場合もあります。
① 副作用が強いとき
アリセプトには「吐き気」や「下痢」、メマリーには「めまい」などの副作用が出ることがあります。
「食欲が落ちてしまった」「フラフラする」といった場合は、お医者さんと相談して調整してもらうのが大切です。
② 進行が進んで、効果が感じられないとき
認知症がかなり進んでしまうと、薬の効果が出にくくなることもあります。
「もう薬を続けても意味がなさそう」と感じるときは、お医者さんに相談しましょう。
5. まとめ:薬は「やめるかどうか」ではなく「どう使うか」
認知症の薬は、進行をゆっくりにするためのサポート役です。
✅ 薬を飲み続けると
・記憶力の低下をゆっくりにできる
・不安やイライラが減る
✅ 薬をやめると
・記憶が急に悪くなることがある
・イライラや不安が強くなることも
大事なのは、「薬をやめるかどうか」ではなく、**「どう使うか」**です。
「薬を続けるのが不安」「副作用がつらい」と感じたら、自己判断でやめずに、必ずお医者さんに相談しましょう。
薬だけでなく、家族の関わり方や生活の工夫も大事です。
無理せず、できることから少しずつやっていきましょう!