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認知症は認知症でも種類があるって聞いたことがあるけど
わたしの親はどのタイプの認知症なの?
なんてお悩みではありませんか?
実は、認知症とひとくくりで言っても、原因によって種類や症状は色々あって
種類によって適切な介護(ケア)の仕方も違ってくるんですよ。
認知症の種類を知っていると、
「あ、この人はこの認知症の種類だ」と予想できるようになり症状に対して、どのように向き合ってどのように対応したらいいかも判断することができるようになります。
この記事では、数ある認知症の種類の中でも代表的な認知症について、原因や症状についてまとめています。
認知症の種類の基本の「三大認知症」とは?
はい、認知症です。
なんて一言で簡単に言われるけど、実は同じ認知症でもそこからさらに種類が分かれていて
原因によって近所の人の認知症とあなたの親御さんの認知症は全くの別物の場合があります。
認知症になった原因によって認知症の種類が違うので、出てくる症状の特徴も全然違ってくるのです。
認知症は大きく分けると3つの種類があって「三大認知症」と呼ばれていて
この3種類の三大認知症が認知症の全体の約85%を占めています。
三大認知症の3つは、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症・血管性認知症の3つ。
一番多いのがアルツハイマー型認知症、次にレビー小体型認知症、次が血管性認知症と続きます。
認知症の種類を分類するために精密な検査をすることもありますが、大体の場合が問診で症状や特徴などから判断されて、この三大認知症の中のどれかの診断がなされるのが一般的です。
三大認知症以外の残りの15%の認知症の中には治るタイプのあまり知られていない認知症などもあるんですが、また後ほどお話ししますね。
まずは、3つの認知症の種類について詳しくみていきましょう。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー認知症は、認知症のよくある症状の1つである「もの忘れ」から気づくことが多くなります。
今まで当たり前に出来ていた日常生活が少しずつできなくなっていくのが特徴です。
新しい事を記憶することができなくなることで、思い出すことができなくなったり、
今何時で、今自分がどこにいるのかわからなくなるなどの症状が出てきます。
他にも、物盗られ妄想や徘徊などの症状が出ることもあります。
認知症の中で一番多い種類がアルツハイマー型認知症であるとお話ししましたが日本国内の認知症患者のうち約67%の人がアルツハイマー型認知症であると言われています。
アルツハイマー型認知症になる原因
アルツハイマー型認知症になる原因は、脳の萎縮が大きく関わっています。
脳に異常なたんぱく質がたまっていくことで、脳の正常な神経細胞が死んでしまうことで起こります。
脳が縮んじゃうのです。
脳の中にある海馬と呼ばれる記憶を担っている部分から委縮が始まって徐々に広い範囲で脳が委縮して全体が縮んでいき認知症の症状として現れてくるわけです。
特徴
アルツハイマー型認知症の代表的な症状は「もの忘れ」。いわゆる記憶障害から始まることがほとんどです。
初期のちょっとしたもの忘れから始まり、記憶の欠損をごまかすために作り話をしたり取り繕うような反応も出てきます。
何度も同じものを買ってきたりするのがアルツハイマー型認知症の典型的な例ですね。
新しい経験を記憶できずすぐに忘れてしまうので、食事をしたことを忘れてしまったり薬を飲んだ事を忘れてしまいます。
今日がいつなのか、今が朝なのか夜なのか、今どこにいるのかも次第にわからなくなる見当識障害も現れて家族の顔さえもわからなくなることがあります。
心当たりがありませんか?
他にも判断する力や理解する力も落ちてくるので、ご飯を作ったりお金の支払いやおつりの計算などの実行機能障害も現れます。
アルツハイマー型認知症は発症から2~8年で寝た切りになり、8~10年ほどで亡くなる場合が多いといわれています。
レビー小体型認知症とは
レビー小体型認知症といえば「幻視」です。
眠っている間に急に大声で怒鳴りだしたり寄声を上げたりとビックリするような症状が目立つのがレビー小体型認知症です。
他にもパーキンソン症状がみられて手足が震えたり歩行が小刻みになったりするのも特徴になります。
レビー小体型認知症は、症状が出るときにはムラがあって頭がはっきりしているときと、ぼーっとしているときがあって、日によって本人の雰囲気がかわるのも特徴的な認知症です。
レビー小体型認知症の原因
レビー小体型認知症は、脳の中にその名の通り「レビー小体」というたんぱく質の塊が大脳のあちこちに広く現れることが原因で発症します。
脳で記憶を担う海馬などの広範囲の血流が悪くなって機能低下することで引きおこります。
記憶を司る海馬から、視覚を司る後頭葉(こうとうよう)までの広範囲で血流が悪くなり、機能が低下することによって起こります。
特徴
レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症の代表的な症状である記憶障害は最初はあまり目立ちません。
実際に目に見えないものが本人には見える等の「幻視」が特徴的な症状になります。
「ネズミがいる」「子どもが座ってる」など内容は具体的です。
また、脳の視覚をつかさどる後頭葉までレビー小体が現れるため、注意力がなくなったりゆがんで物が見えたりする症状が現れます。なので、丸めてあるものが動物に見えたり人形を人に見間違えてしまう「錯視」もよくあります。
他にも睡眠時に急に大声や寄声をあげる異常言動や、気分の浮き沈み等の抑うつ症状、小刻み歩行等のパーキンソン症状も現れます。
レビー小体型認知症は、日や時間帯によって症状の出方にムラがあるのも特徴で
頭がはっきりしているときは判断や理解が充分に出来ることきもあれば、ボーっとしてして何もできないときもあり、状態の入れ替わりがよくおこります。
血管性認知症とは
血管性認知症とは脳梗塞や脳出血などによって発症する認知症です。
脳の場所や障害の程度によって症状が違うので、出来ることとできないことがはっきり分かれていることが多いです。
血管性認知症の原因
血管性日庄は、脳の血管が詰まる「脳梗塞」や血管が破れる「脳出血」などが原因で起こります。
脳の血管の周りの神経細胞がダメージを受けてしまうことで認知症になるわけです。
自然に発症する認知症というよりも、事故や病気の後遺症というと分かりやすいかもしれませんね。
なので病気や事故の程度によって認知症の程度にも違いが出ます。
血管性認知症の特徴
血管性認知症は、事故や病気の後遺症と考えればわかりやすいです。
もともと元気だった脳が事故や病気で一部分がダメージを受けるわかですから、脳に元気な部分とダメージを受けた部分が混ざっていることになります。
どこの血管が詰まったのか、どこの血管が破れたのかによって現れる障害が違うので「まだら認知症」とも呼ばれています。
一見しっかりしている認知症の人もいれば、新しいことが覚えられないアルツハイマー型認知症のような症状の人もいるわけです。損傷を受けている部分によって千差万別なのです。
治るタイプの認知症もある
認知症は発症すると治らない、進行を抑えることしかできないと言われています。
基本は治らないのですが、実は一部治るタイプの認知症もあるんですよ。
というのも認知症になった原因の部分を改善できるタイプの認知症です。
認知症になった原因となった病気を治療することとで直せる認知症もあるのです。
認知症の症状があっても、もとの病気を治療すると治ることもあります。
たとえば、正常圧水頭症(せいじょうあつすいとうしょう)なんかが治せる認知症の1つです。簡単に言うとあたまに水が溜まってしまう病気ですね。
正常圧水頭症になると、認知症に似た症状が出るため家族や周囲の人に誤解されやすいのが特徴です。誤解されやすいため「治る認知症」なんて別名がついてるわけです。
正常圧水頭症は適切な治療を行えば症状を改善させることができますが、急激によくなるわけではなく少しずつ改善していくというのも理解しておきましょう。