認知症で大声を出し続けるときの適切な対応方法とは
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認知症で大声を出し続けるときの適切な対応方法とは

この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。

認知症で大声を出し続ける

あなたも認知症の利用者さんの大声を出し続ける行動に
困ってしまった経験はありませんか?

「しーっ!」っとしたり、声をかけようものなら
ますますヒートアップして叫びだしちゃうし
かといって放っておいても大声は収まるわけでもなく…

しまいには他の利用者さんまで「うるさいっ!」
って怒ってしまって機嫌が悪くなるという負の連鎖…

昼間ならまだしも夜中にも大声を出されると
寝ている利用者さんが起きてしまったりと大変なんですよね。

ここでは、認知症の利用者さんの大声に対する対応のポイントを紹介します。

 

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大声を出し続ける原因は?

大声を出すというBPSDはアルツハイマー型認知症の人の
約40%の人に見られる症状といわれています。

ただ、実際そこまでいるかな? というのが正直なところです。

大声を出したり叫んだりする行動の多くは
本人とその周りの環境が影響していることがほとんどになります。

認知症である本人が本人を取り巻く環境の中で
何かストレスが加わることで爆発しちゃうといったところでしょうか。

なので、そのストレスを取り除いてあげるために
何が原因になっているのかを見極めることが大切になります。

 

自分の気持ちが伝えられないもどかしさ

わたしたちも言いたい事がうまく相手に伝わらないとイライラしてしまいますよね?

認知症の人も同じです。
認知症の人は脳の障害によってよりうまく伝えることができません。

思っていることを文章にすることができない人もいれば、単語が出てこない人もいます。言葉を発することもままならない人だっています。

また、自分の感情をコントロールして抑制する機能も衰えているため
イライラした気持ちをどう処理したらいいかわからなくなるのです。

「わかってもらえない」「どうしたらいいのかわからない」
自分の想いが伝わらないこのもどかしさを「大声」をあげることでSOSを出していることがあります。

 

恐怖や不安でつらい

自分の気持ちがうまく伝えられないのと似ていますが、
認知症になると記憶障害や見当識障害が起こり状況を理解することが難しくなります。

急に記憶がポンっと飛んでなくなったり、
自分がどうしてここにいるのか分からなくなったりすることで
不安や恐怖を感じて大声を出してしまうのです。

自分自身が壊れていくのが自分で何となくわかるので、
怖くて不安で仕方がない状態になります。

何とかしたいけど何もできなくて
どうしたらいいか分からなくて誰に助けを求めたらいいかもわからなくて
そんな自分がイヤで葛藤して苦しんでいるのです。

 

幻視や妄想で混乱している

幻視や妄想も認知症の症状の中の一つになります。

知らない男の人が入ってきた!などという幻視によって困惑して
大声をあげたり叫んでしまうこともあります。

 

不快なことがある

認知症の人は自分の意思を上手く伝えられないという話は先ほどしましたが
感情の部分の気持ちを伝えることが難しいだけでなく感覚の部分もうまく伝えることができません。

なので、体調が悪いことを言葉で伝えられないために
大声で叫んでヘルプを出していることもあります。

便秘でお腹が苦しいのかもしれません。
排せつに行きたいのかもしれません。
空調が効きすぎて寒いのかもしれません。
のどが渇いてるのかもしれません。
お腹がすいているのかもしれません。
身体が痒いのかもしれません。

 

対応するときに意識するポイント

自分の感情は表に出さない

まずは、NG対応を心得ておく必要があります。

わたしたち介護士も人間です。
相手が無意味に怒っていたり、毎日毎日大声で叫んでいるとイヤになってしまうと思います。

イライラするし、また?とうんざりしちゃいますよね。。。

ただ、その気持ちや感情は、あなたの表情や声のトーンから
利用者さんに伝わってしまいます。

わたしたちも人間ですからイライラ感情があるのは仕方ありませんが
プロの介護士としてその感情を表に出さずに対応していきましょう!

利用者さんも、大声を出したくて叫んでるわけではありません。
怒りたくて怒っているんじゃありません。

どうしたらいいか分からなくなっている認知症の症状であり
助けてのサインであることを理解して接しましょう。

 

強い口調で話さない

大声で叫んでいる利用者さんに
「しずかにしてください!」などと強い口調で対応するのはNGです。

もしあなたにそんなつもりがなかったとしても
あなたのイライラが言葉にのっかって声のトーンに現れてしまいます。

強い口調や命令口調、押さえつけるような感じで話かけると
利用者さんの不安や恐怖がより増してしまい悪循環になってしまいます。

 

わたしたちにはどうすることもできない?

認知症の利用者さんの本当の気持ちや苦しみを
認知症ではない私たちが本心から理解しわかってあげることは難しいです。

不安や恐怖からくる大声であるとわかったところで
その恐怖や不安を私たちが取りのぞくなんて無理な話です。

私たちに認知症は直せないですもん。

私たちにできることといえば、
利用者さんを安心させてあげることなのです。

重要なのは、利用者さんからのヘルプがあるときの
わたしたちの態度なのではないでしょうか。

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大声で叫んでいるときの対応方法

普段から利用者さんと関わっているともしかしたらこうかな?と
大声を出す理由が見えてくるかと思います。

思い当たる理由に合わせた対応をしてみましょう。

 

話をよく聞いてあげる

まずは、大声を出している利用者さんの傍にいき
落ち着いて「どうされました?」と話しかけてみましょう。

利用者さんが話してくれるのを
ゆっくりと聞いてあげましょう。

くれぐれも、「大きな声を出したらダメ」「なんで大声を出してるの?」
「どうしてそんなことするの?などの問いただすような声かけは避けましょう。

余計なことは言わずに相手の話をよく聞いてあげましょう。

 

そばにいてあげる

こちらも同様に、利用者さんの話をきいてあげましょう。

「大丈夫ですよ」とそっと寄り添い、
やさしく話しかけて安心させてあげましょう。

少し落ち着いてきたら、ホットミルクなどの温かい飲み物や
ちょっとしたお菓子などを提供してみるといいでしょう。

また、あなたに抵抗がないようであれば
本人をぎゅっと抱きしめて背中を軽くたたいてあげるのもおすすめです。

幻視や妄想の否定をしない

利用者さんの幻視や妄想は決して否定してはいけません。

実際にあなたには見えていないものが
利用者さんに見えていたとしても否定せずに共感しましょう。

「まどの外から男の人がみてる!こっちにくる」と訴えるのであれば
話を合わせて「男の人がいるけど大丈夫ですよ、鍵をしめましたよ」などと答えて安心させてあげましょう。

不快なことがないか確認する

体調不良や不快なことがないか確認しましょう。

受け答えができる利用者さんであれば
具合が悪いところがないか、寒くないかなどを一つずつ確認します。

具合が悪いところがないですか?
と聞くのではなく「お腹は痛くないですか?」などと
具体的に聞いてあげると意外と答えてくれることがあります。

 

どうしても改善しない場合は専門医に相談

何日も何日も大声を出し続けて、
どんな対応をしても興奮がおさまらない場合は家族さんと相談して専門医に相談してみましょう。

職員も大変ですが、他の利用者さんも一緒に生活しています。
なにより、本人が一番つらい思いをしている状態です。

どんな適切なケアをしても利用者さん自身がケアを受け入れず心を閉ざしてしまっている場合はどんなケアをしても届くことはありません。

落ち着いた生活をするために、お薬の力を借りることで
心の扉が開き、わたしたちのケアが届き安心して生活していただけるようになること、
一度家族さんにお話しされてみてはどうでしょうか。

まとめ

認知症の人が大声を出して叫ぶ理由は人によってさまざまですが
一番苦しい思いをしているのは利用者さんです。

不安で怖くて苦しい思いをしている利用者さんが
助けを求めているのだと考えれば寄り添ったケアができるのではないでしょうか。

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