認知症の食事介助で食べない時のコツと裏技
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認知症の食事介助で食べない時のコツと裏技

この記事を読むのに必要な時間は約 11 分です。

認知症で食事を食べないときの対応

認知症の利用者さんが食事を食べてくれなくてお困りではありませんか?

目のまえに食事を配膳しても食べ始める気配もないし
「ごはんですよ」と声かけしても全然食べてくれない。

箸を渡しても手を付けようともしないし
挙句の果てにはお箸でお皿の中をツンツンしはじめちゃう…。

一体どうしたらいいの~?となってしまいますよね。

ご飯を食べないと栄養が取れないし
あとからお腹がすいたと言われてもどうすることもできないから
なんとか食事の時間に食べてほしいと思っちゃいますよね。

ここでは、認知症の利用者さんが食事の時間に
ご飯を食べないときに工夫できることや対応方法についてまとめています。

 

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認知症の人が食事を食べない原因と対策

認知症になると、自分が思っていることや伝えたいこと、
言いたいことを上手く言葉にすることができなくなってしまいます。

体の具合が悪くて食欲がなくても
口の中にできものがあって痛くて食べられなくても
言葉であなたに訴えることができないのです。

わたしたち介護士は、認知症の利用者さんが
何を考え何を思っているのか、何を伝えたいのかを
察することができるようになることが大切になります。

なぜ食事を食べないのか。

その理由も普段からしっかりと利用者さんと関わり
身体の状態や健康状態を把握し、表情や仕草をしっかりと観察すると
見えてくることもあります。

 

食べ物であることを理解できていない

目のまえにご飯が配膳されているのに手をつけなかったり箸で遊んでしまうような場合は、目の前にある食事を食べ物であると認識できていない可能性があります。

「失認」という認知症の症状のひとつで
それが何か判断や理解することが難しくなる状態をいいます。

私たちは目の前のホカホカの白米を見れば
それはご飯であり、食べ物である、食べられるものであると
当たり前のように理解できますが

認知症が進んだ利用者さんは
目のまえにあるものが、何なのかを見ただけではその判断が困難なのです。

「ご飯」であることを理解する情報を収集して
情報を頭の中で結びつけて判断する力がなくなってしまっているのです。

 

対応

人は、視覚(目)だけで物事を判断するわけではありません。
嗅覚( 鼻)聴覚(耳)など他の感覚も交えて情報を結びつけるヒントを出してあげることで理解できる場合があります。

認知症でも認知機能のすべてが失われてしまっているわけではありません。
残っている機能や忘れていない記憶の部分にアプローチする声かけをしてみましょう。

「温かいお味噌汁ですよ」「おいしそうなご飯ですね」と声をかけたり
一緒に食べたりするだけで食べ物であると認識して食べ始めることもあります。

目の前にあるものがどんな食べ物なのか
説明してあげることも有効です。

他にも、香りを立たせたり、ご飯をおにぎりにしてみたり
嗅覚や触覚などの感覚からアプローチしてみるのもおすすめです。

 

食べ方がわからない

症状が進むと「失行」の症状が現れて
食べ方がわからなくなってしまう場合があります。

お腹もすいているし、食事をしようとしているけど
お皿があってお箸があって具材があって…と混乱してしまうのです。

何を使ってどのようにお皿からとればいいのか
どれくらいの量を箸でどうやってとるのか
どうやってこぼさずに口に入れるのか などが分からなくなっている場合がります。

目の前にご飯があることはわかっている
手も元気に動かすことはできる

だけど、何をどうしたらいいのか一連の動作がわからなくなってしまっているのです。

対応

食べ方がわからない利用者さんの場合には
本人の目に入る位置で職員も一緒にゆっくり食事をする方法が有効です。

職員が食べる姿をみて見よう見まねで食べ始めることがあります。

また、食器や盛り付け方法を工夫してみるのもおすすめです。

品数が多かったり大盛りになっているだけで
認知症の人にとっては莫大な情報になってしまいます。

情報が多いと混乱してしまい、どのように手をつけたらいいか
わからなくなってしまうことがあります。

他にも本人のこれまでの生活習慣を交えてみるのもおすすめです。

ご飯にふりかけをかけてみたり、漬物を添えてみたり。
白いお茶碗から茶色いお茶碗に変えてみるとか。

ご飯をおにぎりにすると食べ始めたという話もよく聞きます。

本人にとって何をどうしてあげたら食べ方を理解できるか試行錯誤してみましょう。

落ち着いて食事できる環境じゃない

認知症になると集中力が長く続かなくなることがあります。
周囲の環境の影響を受けやすいためちょっとした環境の変化や刺激で
食事どころではなくなってしまうときもあります。

内部環境

認知症の人は伝えたいことを上手く言葉にして伝えることが苦手なので
体調が悪くても症状を訴えることが難しいことがあります。

座っていて腰が痛かったり皮膚がすれて痛みがあるなど
食事の姿勢が辛そうな状況になっていませんか?

椅子の高さや机の高さを変えたり、クッションを挟むなどの工夫をしてみましょう、

他にもよくあるのが、トイレに行きたいときです。
特に便秘傾向の利用者さんや、食事前に排せつを済ませていない場合に多くみうけられます。落ち着いて食事をしてもらうために食前に排せつを済ませておきましょう。

食事の時間に眠くてぼんやりしている場合には
窒息や誤嚥につながるため無理やり食べてもらおうとせず、
必要に応じて食事の時間をずらしましょう。

わたしたち介護士が認知症の方の体調不良に
いちはやく気が付くことができれば、原因もおのずと見えてくることでしょう。

外部環境

テレビがついていてざわざわしている、逆に静かすぎる。
照明が明るすぎる、もしくは暗すぎるなどという環境が原因で
落ち着いて食事ができないことがあります。

これまでの生活習慣によって
安心してゆっくり食事ができる環境は人それぞれちがういます。

音や明るさだけでなくテーブルに飾ったお花やティッシュ、壁に貼ってあるポスターなどが気になって食事が手につかないこともあります。

集団生活の場合は、ひとりの習慣に全員を合わせることは難しいかもしれませんが
席の配置を変えるなどの配慮をしてあげるといいでしょう。

嚥下障害や口のトラブル

虫歯がある、義歯が合わないことによる痛みなどの
お口のトラブルが原因で食事ができない方もいます。

もしかして…と思ったらご家族に歯科受診を依頼しましょう。

また、高齢になると嚥下障害が現れてきて
少しずつ食べ物を飲み込みにくくなってしまいます。

ムセたり咳き込んだりと苦しい思いをしたことによる恐怖から
食べることに対して負のイメージを抱いて食べなくなってしまうこともあります。

噛む力や飲み込む力が弱くなって生きている利用者さんや
食べづらそうにしている利用者さんには

キザミ食を提供したり、やわらかい食材を提供するなど
具材の大きさや固さを変える調理方法の工夫をしましょう。

ムセがひどい利用者さんは食事に混ぜると
とろみがつけられる「とろみ剤」を使用するのがおすすめです。

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1食くらい食べなくても問題ないが…

人の身体は、1食食事を食べない程度では大きな影響はありません。

特に高齢者の場合は、わたしたちと比べても
活動力は少ないので必要なエネルギーも少しです。

そのため、認知症の人が食事を食べないからといって慌てる必要はないのです。

ただ、気にすべきことは「水分」です。
わたしたちは身体に必要な水分の多くを食事からとっています。

高齢者はのどの渇きを感じにくく水分摂取を多くしないため
夏の暑い時期に食事を食べないことがあると脱水を起こしてしまう危険があります。

なので、もし食事を食べないことがあっても
お茶やスポーツドリンクなどの水分はしっかり促しましょう。

果物や牛乳などでもいいので
食欲がなくても食べられるものを常備しておくといいでしょう。

栄養バランスは今は気にせず
本人が食べられる好きなものを少しでも口にいれてもらいましょう。

無理やり食べさせるのはNG

利用者さんが食事をたべないからといって強引に無理やり食べさせるのは禁物です。

介護士のわたしたちからすると食べないと元気にならない、
栄養が取れないと思い一生懸命食べてもらおうと頑張るわけですが

食べられない、食べたくない人に
無理やり食べさせてしまうと誤嚥して肺炎になってしまう可能性があります。

また、強引に食事を食べてもらおうとしたり
なぜ食べないのか問いただすことで

利用者さんにとって食事の時間はイヤな時間だと印象づいてしまい
食事の席につくことを嫌がり、ますます食事を食べないようになってしまいます。

「1食くらい抜いても構わない」という姿勢も大切になります。

まとめ

認知症の人が食事を食べない理由には様々な原因があります。

いつも身近にいる私たち介護職員が
原因にち早く気づいてあげて、適切に対応してあげたいですね。

きちんと食事をとることは大切ですが、
一食抜いただけですぐに体に大きな影響が出ることはないので
水分補給を忘れず見守っていきましょう。

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